【要注意】靴のかかとが減ると膝に負担がかかる?歩行と関節の関係を解説

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☑️【2分で読める要約版】

靴のかかとのすり減りが、膝と股関節に与える影響とは?

靴底の「かかと外側」がすり減っている方は要注意。
そのまま履き続けると、膝や股関節に知らないうちに負担をかけている可能性があります。

歩行時の接地は「かかと外側」から始まるため、摩耗が進むと靴の安定性が失われ、姿勢や歩き方が乱れやすくなります
この変化が「運動連鎖(からだの動きの連動)」を崩し、関節に悪影響を及ぼすのです。

ある研究では、摩耗した靴で歩いた場合に以下のような変化が見られました:

  • 膝の屈曲角度が減少し、衝撃吸収が不十分に
  • 膝を伸ばす力(伸展モーメント)が低下
  • 股関節に余計な負荷(内転モーメントの増加)
  • 膝に内反ストレスがかかりやすくなる

これらの変化は小さく見えても、歩行は1日何千回も繰り返される動作です。
わずかなずれの蓄積が、膝や股関節の変形や痛みにつながるリスクとなります。

特に高齢者や変形性関節症の方は、靴底のチェックを習慣にしましょう。
「靴は消耗品」。かかとが減ったら、迷わず修理か買い替えを。

健康な歩行の第一歩は、足元から始まります。

「その靴、大丈夫?」――かかとのすり減りが膝を壊すかもしれません

もしあなたの靴底のかかと外側がすり減っているなら、そのまま履き続けるのは危険です。靴底の摩耗は、知らず知らずのうちに膝関節や股関節に負担をかけ、将来的な関節障害につながる可能性があるのです。

靴底の摩耗が引き起こす“見えない運動連鎖の崩れ”とは?

歩行中、私たちは自然と「かかとの外側」から地面に接地します。そのため、靴底のかかと外側は最も摩耗しやすい部位です。この摩耗が進行すると、靴が本来持っている安定性が失われ、足の傾きや歩き方に悪影響を及ぼします。

特に注目すべきは、靴底の摩耗によって生じる身体の「運動連鎖」への影響です。人間の身体は、足の着き方一つで膝や股関節の動きが連動するようにできています。つまり、足部に変化があれば、膝関節や股関節にも影響が及ぶのです。

実験で判明!摩耗した靴が歩行中の関節に与える4つの影響

ある研究では、健康な成人男性15名を対象に、「通常の靴」と「かかと外側が摩耗した靴」の2種類を履いて歩行したときの下肢関節への影響を比較しました。その結果、次のような興味深い変化が明らかになりました。

  • 膝関節の屈曲角度の減少
     → 初期接地直後、膝がしっかり曲がらず、衝撃吸収が不十分になる
  • 膝関節の伸展モーメントの減少
     → 膝を伸ばす力が弱くなり、歩行時の推進力が低下する可能性
  • 股関節内転モーメントの増加
     → 骨盤や股関節までもが、靴の摩耗によって過剰に働かされている可能性
  • 床反力の外側成分の増加
     → 下腿が外側へ傾斜し、膝に“内反ストレス”がかかりやすくなる

これらの変化は一見すると微細ですが、歩行は1日に数千〜1万回も繰り返される動作です。小さな負担の積み重ねが、やがて膝関節や股関節の変形、慢性的な痛みへとつながることが懸念されます。

特に高齢者や、すでに変形性膝関節症や股関節症を抱えている方、下肢筋力が低下している方にとっては、靴底の摩耗が病状の悪化を招くリスクとなり得ます。

健康な歩行の第一歩は「靴底チェック」から始まる

「靴は消耗品」とはよく言ったものですが、実際に靴底の摩耗が身体にこれほどの影響を与えるとは、あまり意識されていません。今回の研究からわかるのは、「かかと外側のすり減り」を放置することが、膝や股関節にとって大きなストレスになるという事実です。

靴の底は毎日目にする場所ではないかもしれません。しかし、定期的に確認し、必要に応じて修理や買い替えをすることは、関節障害の予防として非常に有効なセルフケアです。

まとめ

  • かかと外側の摩耗は、膝・股関節に悪影響を及ぼす可能性がある
  • 摩耗した靴を履き続けると、膝の屈曲・伸展運動が妨げられる
  • 股関節や膝への過剰な負担が、関節障害のリスクを高める
  • 靴底の摩耗状態を定期的にチェックすることが、健康な歩行の第一歩

「靴が古くなったら買い替える」――その当たり前の習慣が、あなたの膝を守る第一歩になるかもしれません。

参考文献

瀬黒淳矢ほか(2025)『靴底踵外側部の摩耗が歩行時の下肢関節に及ぼす影響』日本予防理学療法学会雑誌, 4(2):36-42.

JSTAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja

※詳細な内容に関心のある方は、原著をご参照ください。

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